症例報告⑩ 内臓の癒着から起こる腰痛
ギックリ腰、椎間関節症、仙腸関節炎、坐骨神経痛etc
腰部の病名はいくつもありますが、実のところ明確な定義はあって無いようなものです。
今回はギックリ腰?仙腸関節炎?坐骨神経痛?どれに当てはまるか微妙なM様の症例報告です。
M様は2日前から急に激しい痛みに襲われたそうです。これだけならギックリ腰と思いますが、その痛み方が特徴的で、座位が一番痛いと言います。
普通は腰痛では寝た姿勢からの動き(寝返り・起き上がり)が一番辛いものなのですが、M様の場合兎に角ずっと座った姿勢でいることが辛く、トイレや車の運転がきついそうです。また座ると尾骨にも痛みが出て、右下肢にしびれも感じるそうです。
これは坐骨神経痛?仙腸関節炎?いやでも急性なのでやっぱりギックリ腰?様々な要素が入り混じった何とも不思議な症状です。
最初は普通に腰椎~仙骨、尾骨をモルフォセラピーで矯正し様子を見てもらう事にしました。施術後から夜までは調子が良かったそうですが、お風呂に入った後症状がぶり返したそうです。
普通はお風呂に入ったら血行が良くなって良くなるものですが、浴槽にずっと座った姿勢でいたため再発したそうです。ほんとに不思議な症状です(-_-;)
2回目の施術でもやはり施術後は良くなりますが、その晩お風呂に入ると痛みがぶり返します。
一体なんだろなぁ?と考えつつ3回目の施術でふと背中周辺の矯正を何気に行ったら「急に痛みが引いた」と言います。なぜ背中?と思いつつ、もう1度しっかり問診をすると、過去に大腸に穴が空いたり、気肺になったり、脳梗塞や腸ヘルニアなどの既往歴があることが分かりました。
ここまで内臓に既往歴があると十中八九お腹の中で癒着が起こっているはずです。今回の不思議な症状も内臓の癒着が原因なのではと考えました。
確かに内臓の癒着が原因であるならば、背中周辺の矯正で痛みが引いたというのも説明がつきます。
T12~L1の高さに腹腔神経叢というものが位置します。腹腔神経叢は簡単に言うとお腹部分の自律神経の集合体です。この神経の束は、肝臓、膵臓、胆嚢、胃、脾臓、腎臓、および腸に影響を与えます。
下記の文章は新潟県立がんセンターの論文の一部を抜粋したものです。↓
『腹部内臓(胃,膵臓,肝臓,胆嚢,消化管他)由来の痛みは交感神経の求心繊維を伝わり第1腰椎・第12胸椎のレベルで大動脈の前面より基始する腹腔動脈を網状に広がる腹腔神経叢を経て横隔膜を通過し、大小内臓神経を経て交感神経幹より脊髄に至る』
と書かれてありますが、平たく言うと腹部内臓から起こる痛みもあるという事です。大抵それは腰部に表れることが多いのですが。
それでM様は様々な内臓の病気で過去に開腹手術を受けていました。内臓は外気に触れると周辺の組織とべったりくっついてしまうのです(癒着)。癒着を起こせば当然交感神経にも異常をきたし、上記の過程を得て腰痛に発展する可能性も十分あり得るという事です。
と仮説を立てて、とりあえずお腹の癒着を剥がす施術・内臓を正しい位置に戻す施術も併用しました。
その結果3回目の施術後はお風呂に入っても痛みがぶり返すことは無かったそうです。
後はこれらの施術を繰り返し、残った症状を少しづつ取っていき、M様は計6回の施術で完治としました。
今回は本当に不思議な症状でした。これまでお腹からくる腰痛は数多く見てきましたが、私の経験則に無いお腹由来の腰痛だったので、本当に良い勉強になりました。